夜な夜なベランダに侵入する者、その目的は・・・

     

 

去年の秋のこと。

朝起きてベランダに出ると、

スリッパの置き方がむちゃくちゃになっている

という事件が毎日のように続いた。

片方だけひっくり返っていることもあれば、

両方あらぬ方向を向いて転がっていたり、

ベランダの端と端に散らばっていたり。

ちなみに裸人は意外にも育ちが良いので、

履物は踵を向けて脱ぐ習慣がついている。

脱ぎ散らかすなんてまずない。

 

強風が吹き込んでいる様子もなく、

風の影響で動いているわけでもなさそうだ。

動物かなとも思ったけど、その痕跡もない。

何せ、スリッパの移動以外異変は見当たらないのだ。

それでも試しに猫缶を置いてみたが、

やはり手つかずのまま残っていた。

 

気持ち悪いので窓辺にホームビデオを設置して

何日間か夜通し録画してみた。

パラノーマルアクティビティみたいな画像が撮れたら

YouTubeに投稿して生活費の足しにしよう。

そんな期待もしていなくはなかったが、

とにかく生身の人間の仕業でないことを祈った。

職業上、俗にキ●ガイと呼ばれる人との接点が多く、

彼らが来ているのではと思うのが一番怖かった。

そういえばバァちゃんがいつも言っていたっけ、

幽霊なんて怖くない。

本当に怖いのはバカとキ●ガイじゃ。

バァちゃん、今それずっげー実感してるよ。

 

結果、カメラには何も映らず。

暗視機能がないので一晩中ライトを点けていたし、

それで防犯効果もあったのかもしれない。

それ以来、スリッパの移動はぱたりと止んだ。

 

そして月日は流れ、今年の秋。

数日前から、またもやスリッパが動き始めた。

【出入口1の様子】

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【出入口2の様子】

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ちなみにこのビーサン

B'zの稲葉さんが初めてソロツアーをしたときの

ライブグッズとして販売されていたもの。

いわば裸人の輝かしい思い出の品。

 

季節性の精神症状なのか?

めったに使うことのないホームビデオの出番が

今年もまたやってくるかもしれない。

そう思ってスリッパを拾いあげたとき、

裸人は犯人の痕跡らしきものに気づいた。

おわかりいただけるだろうか?

思い出のビーサンに残る、無数の穴・・・

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細く尖ったもので、ひっかいたような跡・・・

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そして、わずかに付着した細い毛・・・

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え、やっぱ犯人アイツ???

でも猫缶は食べてないし、おしっこもしてない。

食料探しでもマーキングでもないのに、

夜な夜な通ってるの?何のために???

いやしかし、猫と思いきや、

縫い針を持った人間がめった刺しにしている

という選択肢もまだ十分に残っている。

それこそ「何のために?」って思うだろうけど、

どうぞ知っておかれたい、

傍から見れば何の目的も意味もない行為に

人生と生きるエネルギーのすべてを費やす人間が

星の数ほど存在しているということを。

 

しかし、それも結局は杞憂に終わった。

今日の明け方、裸人は物音で目が覚めた。

バリッ!ガサガサガサ・・・バリバリッ!

ガサガサッ!バリバリバリバリバリバリッ!

その音は寝室のすぐ外から聞こえてくる。

上の写真、出入口2のほうだ。

気づかれないように、そ~っとカーテンをめくり、

数センチほどの隙間から外を覗いてみる。

街灯にぼんやり照らされたベランダ。

そして裸人は見てしまった、

ごろんごろん転げまわって

夢中でビーサンと遊び続ける

にゃんカスの姿を・・・

 

にゃんカスはしばらくのあいだ、

ビーサンで爪とぎをしたり噛みついたり

抱きしめてガジガジしながら転げまわったり

を繰り返した後、おもむろに立ち上がって

ぶるぶるっと体を震わせ、ん~っと伸びをして

何もなかったかのように去って行った。

え、何しに来たん?と思うけど、

ただ単にビーサンとスリッパで遊びに来ている

と考えるのが妥当だろう。

もしくは、裸人宅のベランダが

にゃんカスの定番の通り道になっており、

通りついでに毎晩遊んで帰るといったところか。

 

いや、どっちにしろ何それ?って話よ。

わざわざそんなモンで遊んでいかんでも、

他におもろいモンもっとあるやろ?

ベランダに置いてある睡蓮鉢も植木も、

今までイタズラされたことなんて一度もない。

メダカ捕るとか植木に糞尿するとかさ、

履物で遊ぶより、普通そっちじゃん?

何?裸人の足の裏、マタタビの匂いでもすんの?

ちょっと猫カフェ行って足差し出してみようかな。

 

とりあえず侵入者は人間でないことが証明され、

それだけでも一安心といったところか。

ただ、裸人の思い出のビーサンはこの秋、

間違いなく破壊されつくしてしまうだろう。

100%だ、実家の猫を見ているからわかる。

他の履物に換えようか迷ったが、

にゃんカスがビーサンを楽しみに来ているかも

と思うと、ガッカリさせるのも申し訳ない。

形あるものはいつか壊れる。

にゃんカスに目いっぱい楽しんでもらうほうが

裸人に履きつぶされるよりも

ビーサンにとっては良い一生かもしれない。

 

さよなら、思い出のビーサン